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GUIDE

本サイトに初めて来られた方、またはアイルランド語詩歌に関心を抱かれた方のためのページです。アイルランド語詩歌といってもどこから始めてよいか分からないという場合は、このページをご覧ください。
 アイルランド語ということば について、アイルランド語の詩歌 について、特定の詩歌 について、の順で説明していきます。何よりも念頭においていただきたいのは、これは 声の文化 だということです。つまり、ことばが何よりもまず、声であるような文化です。現在の私たちは文字の文化に囲まれています。
 今でこそ、黙読が主流ですが、もともと詩は声に出すべきもの、声に出して歌うべきものでした。また、暗誦するものでした。つまり、声と記憶 とは声の文化において発想のモードを規定する重要なものでした。声に出すということは、詩は知的で情的なものでありますが、同時にすぐれて身体的なものでもあるということです。私が本サイトでわざと詩歌という言葉をもちいているのは、本来、詩と歌とは密接に結びついていたこと、こころとからだとが融合する場に存在していたことを示唆するためです。
 私の経験では、ある歌や詩が好きになる第一のきっかけは、その歌い手や詩人の声にあります。その声を聞いたとたんに、その声があらわす世界に入りたくなるのです。その意味では、できる限り機会をとらえて聞くようにするのが近道かもしれません。
 もし、耳の不自由なかたがこの頁をご覧になっていたら、こういうふうに考えてみてください。詩や歌のことばを目でとらえ、それらの詩歌がもっている内的なリズムをからだ全体で感じ取るようにしてみてください。リズムを感じ取るのは、アイルランド語の場合は強勢の位置を知ることで可能になります。アイルランド語は英語と同じく、強勢拍律の言語(強勢がことばのリズムを作り出す言語)ですから、どこに強勢がくるかを知ることがリズムを知ることにつながります。なお、この方法は、耳の聞こえるかたにとっても有益です。

■ アイルランド語ということば

  • 「アイルランド語ってどんなことば?」 X こちら をクリックしてみてください。アイルランド語が聞こえてきます。もし、聞こえない場合は、通信状態が悪いか、お手許に再生環境がないかです。(この音声を聞くためにはたぶん Real Player が必要です。) お邪魔でなければ、これを流しっぱなしにしながら、以下をお読みください。

     どうですか。どんな感じですか。ひょっとすると、音楽が聞こえてきたかもしれませんね。でも、しばらく待っていると、必ずアイルランド語で話す声が聞こえてきます。
     Raidio na Gaeltachtaこれは RTÉ (アイルランド国営放送協会)の放送で、通称 R na G というアイルランド語のラジオ放送です。アイルランドの国内でアイルランド語を話す地域向けに放送されています。日本とアイルランドとの時差は -9時間 (サマータイム時は -8時間) です。たとえば、日本で夕方の5時に放送を聞いていれば、アイルランドでは朝の8時で、朝の番組をやっていることになります。

     アイルランド語に親しむには 耳から入る のが一番です。今は親しみが持てなくても、気にしないでください。
     ちなみに、わが家では朝はアイルランド語であいさつをかわしています。といっても、おはようという意味のことばだけの他愛ないことですが。常にどこかでアイルランド語にふれているという感覚をもち続けるのはいいことです。

  • 「アイルランド語で調べたいことばがある場合は?」 ⇒ <アイルランド語を調べる> の頁が参考になるかもしれません。興味が出てくれば、辞書などもそろえたくなるでしょう。

  • 「アイルランド語がもっと知りたくなったら?」 ⇒ <アイルランド語を学ぶ> の頁が参考になるかもしれません。最近はいろいろな教材が出ています。知れば知るほど、興味深い言語と思えるかもしれません。
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■ アイルランド語の詩歌

  • 「アイルランド語の詩歌ってどんな感じ?」 ⇒ もし、ここに来るまでにずっと R na G の放送を聞いていれば、歌は聞いたかもしれません。もし、無伴奏の歌が聞こえてきたら、それはシャン・ノース歌唱と呼ばれるものです。詩のほうはあまりラジオではやっていないかもしれません。

     どうですか。こういう歌の感じはお好きですか。特に、シャン・ノース歌唱は、あまり他では耳にしない感じかもしれません。
     けれど、この歌は、詩のことばとその音楽的表現とが非常に深い関係にある特別な歌で、世界でもここまで発達した歌唱法というのはまれだと言われています。あまりにもことばと密接に結びついた歌であるために、楽器で伴奏をつけることはほとんど不可能です。ことばに応じてメロディーが変わることもあるので、楽器伴奏者は歌っているつもりで演奏しない限り、合わせることはできません。仮に合わせることができたとしても、基本的に伴奏はしません。
     他方、ソロの歌唱には有利な点があって、音の高さは歌う人が自由に選べます。リズムも自由にできます。伴奏に合わせる必要はありません。こんなに詩のことばが本来の<歌われる詩>としての姿を表す歌は世界広しといえども、そうはありません。今は親しめなくても、ひょっとしてそのうちに好きになるかもしれませんよ。

  • 「そうは言っても、いきなり無伴奏というのはきついのですが」Eistはい、それはよく分かります。もう少し聞きやすいアイルランド語の歌を集めた CD がいろいろ出ています。おすすめは Éist (エーシュト「聞け」)というシリーズで、現在までに2枚出ています。なぜおすすめかと言うと、アイルランド語庁が後援している CD だからです。つまり、アイルランド語文化を啓蒙するのに申し分のない内容なのです。歌い手は一流で、歌詞も正確、製作も堅実と、安心して聞ける CD になっています。国内盤は「イシュト」(RUCD018)、「イシュト2」(RUCD057)というタイトルで、ミュージックプラント で買えます。適度な伴奏がついていて、いい歌ばかりが集めてあります。

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■ 特定の詩歌

  • 「探している歌や詩がある場合は?」

     ありそうなケースとしては CD などで聞いた歌を探す場合です。この場合は、見つかるかもしれませんし、見つからないかもしれません。印刷された歌集というのは、多数あるのですが、アイルランド語の歌詞が載っているだけか、あるいは絶版書というものが多いのです。
     それ以上に根本的な問題があります。伝承歌のほとんどは文字化されていない のです。つまり、文字の形で読めるものは、ほんのひとにぎりに過ぎないということです。20世紀後半以降の伝承歌のレパートリーは千曲以上は優にありますが、かつてはもっと多かったに違いありません。その中で重んじられている少数の歌があります。そういうものについては歌集に収められている可能性はあります。しかし、その場合でも、本に載っている歌詞と歌い手が選ぶ歌詞とはまず同じではありません。それにはいろいろな理由があります。
     私はライフワークとして、好きな歌を一曲でも多く聴き取ることをつづけていますが、なかなか大変です。生きた言語としてのアイルランド語がだんだんと消えてゆく中で、こうした伝承歌を記録に残すことは大事なことと思いますが、時間との競争でしょう。

     もう一つ、ぜひ言っておきたいのは、関係者への インタヴュー が重要だということです。歌詞そのものはあまり文字化されていないのですが、歌詞と同じくらい重要なのがその歌の前提になっている<物語>や背景です。こうした事情は、歌い手や詩人やコレクターへのインタヴューである程度、発掘することができます。いわゆる「聞き書き」としてバカにすることなく、詩歌の「オーラル・ヒストリー」としてぜひ重視してください。

  • 「探している歌がどの CD や歌集に入っているか、パッと一覧できませんか」CD に収められた歌中心に歌詞を集めている Celtic Lyrics Corner という便利なサイトもあります。

     その他に、大英図書館の 録音アーカイヴ では、古い録音を調べることができます。ものによってはその場で音が聴けます。

  • Joe Heaney: The Road from Connemara「解説や歌詞・訳詞がきちんとついた無伴奏歌の CD はありませんか」 ⇒ いくつか候補はありますが、もっとも標準的なものはジョー・ヒーニーの2枚組 CD Joe Heaney: The Road from Connemara (Topic TSCD518D, 2000) でしょう。シャン・ノース歌唱の重要なレパートリーがいくつか入っています。この CD に関連して、オンライン・マガジン Musical Traditions に ジョー・ヒーニーのインタヴュー (1964)が掲載されています。最近リリースされている CIC の CD も、同様のしっかりした製作がされています。
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(禁無断転載 © 2009 Mícheál

Last updated: 16 July 2009